北朝鮮が過去半世紀以上にわたり、在日朝鮮人に民族教育を行う各種学校「朝鮮学校」に対して総計約460億円の資金提供を実施し、昨年も約2億円の「教育援助金」を送金していたことが10日、明らかになった。政府が今国会に提出した高校授業料無償化法案では、その対象に朝鮮学校を含めるかどうかが注目されてきた。資金提供を通じて、「北朝鮮が朝鮮学校に対する政治的支配力を確保している」(政府筋)実態が改めて浮き彫りになったことで、朝鮮学校の無償化の是非が問題化することは確実な状況だ。
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政府筋によると北朝鮮は昨年4月、「教育援助金」「奨学金」などを名目に約2億円を自国の朝鮮赤十字会を通じ、ロシア国内の銀行から欧州の銀行に送金。さらに日本の都市銀行を経由して、在日朝鮮人系のハナ信組本店営業部(東京都渋谷区)に設けた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下の在日本朝鮮人教育会の口座に入金した。そこから初級学校(小学校)から大学まである日本全国の朝鮮学校(71校)に分配されたという。
一昨年は同様のルートで同額程度が朝鮮総連側に送金された。近年は朝鮮赤十字会から、まずロシアか中国のいずれかを経由して送金されるケースが多い。「教育援助金」「奨学金」は昭和30年代前半からほぼ毎年、延べ150回以上にわたり朝鮮学校向けに送金され、累計は460億円を超えるとみられる。
こうして入金された援助金については、朝鮮学校関係者からも「全額が平等に学校に流れず、不平不満が漏れている」(政府筋)との分析もある。
朝鮮学校は、金正日総書記の肖像画を講堂などに掲げて同胞教育を充実させるなど、北朝鮮の政治的影響を強く受けている。
今年1月下旬には、西東京朝鮮第二初中級学校長が廃校寸前の同校を建て直したことが評価され、北朝鮮から労力英雄勲章が授与された。
川端達夫文部科学相は1月29日、朝鮮学校を来年度から実施予定の高校授業料無償化の対象に含めるかどうかについて、「分類としていえば対象だが、省令でどうするかはこれからの議論だ」と述べた。北朝鮮の政治的影響下にある上に、資金提供が発覚したことで、無償化の是非について議論を呼びそうだ。
この件に関して、朝鮮総連は「産経新聞の取材には応じられない」としている。
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